
「水いぼ」 は日本語の俗称で、正式な医学用語では「伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)」と言います。「いぼ」はイボ(疣)で、皮膚にできる小さな突起物の総称です。「水」は、そのイボの中に水っぽい内容物(ウイルスを含んだ軟らかい粘液状の物)が詰まっているように見えることから。
つまり、見た目がぷくっとしていて、中に透明または白っぽい液が入っているように見えるので 「水のようなイボ」→「水いぼ」
という呼ばれ方になったと言われています。
今では絶対真似してはいけない江戸時代の水いぼの民間療法があります。
① 線香で焼く(焼灼療法)当時はお灸や線香で直接水いぼを焼いてつぶす方法がありました。「疣は熱に弱い」と信じられていたため、焼くことで膿を出し、再発を防ぐと考えられていたようです。
② ヨモギやドクダミの薬草ヨモギの煎じ汁、ドクダミの生葉を揉んで貼るなどの外用療法もありました。ドクダミは「毒を出す草」として疣や腫物に使われていました。
③ 祈祷・呪い・疣封じ疣は「人からもらう」とも考えられ、疣封じの祈祷をする寺社も多かったです。近所のお地蔵さんや神社に「疣封じの石」などが残っている地域もあります。
④ 他人に「こすりつけて移す」「疣は他人にうつると治る」という俗信がありました。例えば「三叉路の石にこすりつけると治る」通りすがりの人にそっと触れさせると治る」など。
なぜそんな方法が?
当時はウイルスの概念がないため、体内の「悪い水気(瘡毒)」を外に出すとか、「疣の神さま」にお願いしてうつしてもらうなどの考え方でした。実際には自然治癒するものが多いので「祈祷が効いた!」と信じられていました。
少ない情報の中、先人たちの苦労が感じられます。
※現代では真似してはいけません。

現代医学ではポックスウイルス科に属する伝染性軟属腫ウイルスによって疣を形成する。微小な外傷や毛孔から侵入、表皮に感染します。小児はスイミングプールで感染することがあります。成人では性感染症として知られています。アトピー性皮膚炎の方は感染リスクが高いです。
治療としては摘除(鑷子で除去)、凍結療法や40%硝酸銀塗布などが挙げられます。
当院ではいずれの方法も施行可能です。患者様一人一人にあった方法を模索しておりますのでぜひご相談ください。接触感染なので、施設によっては遊泳禁止とされるところもあるようです。お子様のイボは早く処置してあげて、かつて私たちが経験した、暑い夏の気持ち良いプールを子供達にも体験させてあげたいものです。