水虫(みずむし)・田虫(たむし)By 清原龍皮ふ科 / 4月 21, 2025 あたらしい皮膚科学第3版 水虫の語源は、江戸時代にさかのぼります。田んぼでの作業中に手足に水ぶくれ(水疱)ができてかゆくなる症状(専門的に言うとBoullous Tineaという病型)が、「水中、田んぼの虫によるもの」と考えられたことから、「水虫」や「田虫(たむし)」と呼ばれるようになったとされています。 当時は、田植えなど水を張った田んぼで農民が虫に刺されて発症する病気だと誤解されていたため、このような名前がつきました。また、水虫が悪化すると皮膚がめくれたり水ぶくれができることも、語源の一因とされています。 実際には水虫の原因は白癬菌(T.rubrum T.mentagrophytesなど)というカビの一種ですが、語源は「水」と「虫」という言葉の通り、昔の人々の生活や自然観に根ざしたものです。 病院では皮膚のかけら(カサカサした所)や水疱の内容物をスライドガラスに置いて、KOH(水酸化カリウム)という角質を溶かす液体をかけて角質を溶かします。(真菌の成分はKOHで溶けないため)顕微鏡で観察すると、真菌成分があるかどうかを確認できます。 あたらしい皮膚科学第3版 「みずむし」は感染した部位によって診断名も変わります。足に感染した場合「足白癬」(あしはくせん)「みずむし」と呼ばれ、さらに細かな分類で「趾間型」や「角質増殖型」などがあります。一般的には小児の頭髪に出た場合はいわゆる「しらくも」、体「ぜにたむし」、陰部に感染した場合は「いんきんたむし」と呼ばれます。爪に感染した「爪白癬」も様々な病型が知られています。細かい病型(びょうけい)により、治療も異なります。例:頭部白癬に塗り薬の抗真菌薬は使用しないなど。市販のお薬がいまいち効かなくて、長年の「水虫」・「たむし」で悩まれている方などおられたらご相談ください。